広島県の税理士の平均キャリア年数は19.1年です。ただしこれは県全体を平均した数字で、エリアごとに見るとかなり違います。税理士が25名以上いる14のエリアで比べると、最も長い三原市は平均26.8年、最も短い広島市安芸区は14.8年。その差は 12年 あります。
「経験の長い税理士に相談したい」「若手の税理士を探したい」という条件がある場合、この差は探す場所の選び方に直結します。この記事では、2026年4月時点のデータをもとに、広島県内のエリア別のキャリア構成を整理しました。
(広島県全体の税理士統計情報はこちらをご覧ください。)

「キャリア年数」は税理士登録日から2026年時点までの経過年数を指します。事務所での実務経験年数や、国税職員時代を含めた税務キャリア全体ではなく、あくまで税理士として登録してからの年数です。登録前に会計事務所のスタッフや国税職員として長く実務に携わっていた人も多く、税理士登録年数=税務に関わってきた年数、ではない点には注意してください。
広島県全体のキャリア構成
広島県内で現役登録中の税理士は 1,613名、平均キャリア年数は 19.1年 です。登録から30年以上のベテランは 367名(22.8%) で、県内の税理士のおよそ4〜5人に1人にあたります。
5区分に分けると、次のような分布です。
| キャリア年数 | 登録年(目安) | 人数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 5年未満 | 2022年以降 | 220名 | 13.6% |
| 5〜9年 | 2017〜2021年 | 267名 | 16.6% |
| 10〜19年 | 2007〜2016年 | 462名 | 28.6% |
| 20〜29年 | 1997〜2006年 | 297名 | 18.4% |
| 30年以上 | 1996年以前 | 367名 | 22.8% |
| 合計 | ― | 1,613名 | 100% |
最大層は10〜19年の中堅(462名・28.6%)です。20年以上のベテラン層は664名(41.2%)、10年未満の若手・中堅は487名(30.2%)となります。
県全体で見るかぎり、どのキャリア層も一定の厚みがあります。ただし、この構成はエリアによってはっきり変わります。
エリア別の平均キャリア年数──12年の幅がある
税理士が25名以上いるエリアを、平均キャリア年数の長い順に並べると次のようになります。広島市は市全体ではなく8区に分けています。
| エリア | 税理士数 | 平均キャリア年数 | 30年以上 | 5年未満 |
|---|---|---|---|---|
| 三原市 | 31名 | 26.8年 | 41.9% | 3.2% |
| 呉市 | 87名 | 22.3年 | 34.5% | 13.8% |
| 広島市安佐北区 | 30名 | 21.6年 | 16.7% | 6.7% |
| 尾道市 | 49名 | 20.3年 | 28.6% | 6.1% |
| 広島市東区 | 109名 | 20.2年 | 25.7% | 11.9% |
| 福山市 | 250名 | 19.6年 | 22.8% | 13.2% |
| 広島市南区 | 127名 | 19.5年 | 23.6% | 9.4% |
| 広島市西区 | 139名 | 19.4年 | 23.0% | 15.8% |
| 広島市中区 | 436名 | 18.4年 | 21.8% | 16.1% |
| 広島市安佐南区 | 62名 | 18.1年 | 17.7% | 12.9% |
| 廿日市市 | 53名 | 16.6年 | 18.9% | 24.5% |
| 広島市佐伯区 | 73名 | 16.2年 | 12.3% | 16.4% |
| 東広島市 | 60名 | 16.2年 | 16.7% | 8.3% |
| 広島市安芸区 | 25名 | 14.8年 | 12.0% | 16.0% |
| 広島県全体 | 1,613名 | 19.1年 | 22.8% | 13.6% |
上位は備後エリアと呉市が占めます。三原市の26.8年は県平均を7.7年上回り、次点の呉市(22.3年)とも4.5年の開きがあります。
一方、下位に並ぶのは東広島市・廿日市市と、広島市の佐伯区・安芸区・安佐南区といった周辺エリアです。安芸区の14.8年は、三原市とちょうど12年の差になります。
県内最大の集積地である広島市中区は18.4年で、14エリアのちょうど中ほどより下です。事務所数が多いエリアほど平均キャリアが長い、という関係にはなっていません。
ベテラン比率で見るとどうなるか
登録30年以上の税理士が占める割合で並べ替えると、差はさらにはっきりします。
| エリア | 税理士数 | 30年以上のベテラン | 比率 |
|---|---|---|---|
| 三原市 | 31名 | 13名 | 41.9% |
| 呉市 | 87名 | 30名 | 34.5% |
| 尾道市 | 49名 | 14名 | 28.6% |
| 広島市東区 | 109名 | 28名 | 25.7% |
| 広島市南区 | 127名 | 30名 | 23.6% |
| 広島市西区 | 139名 | 32名 | 23.0% |
| 福山市 | 250名 | 57名 | 22.8% |
| 広島市中区 | 436名 | 95名 | 21.8% |
| 廿日市市 | 53名 | 10名 | 18.9% |
| 広島市安佐南区 | 62名 | 11名 | 17.7% |
| 広島市安佐北区 | 30名 | 5名 | 16.7% |
| 東広島市 | 60名 | 10名 | 16.7% |
| 広島市佐伯区 | 73名 | 9名 | 12.3% |
| 広島市安芸区 | 25名 | 3名 | 12.0% |
最も高い三原市(41.9%)と最も低い安芸区(12.0%)では 3倍以上の開き があります。三原市では税理士の5人に2人が登録30年超である一方、安芸区・佐伯区では8人に1人程度です。
ここで注意したいのは、比率と人数は別だという点です。ベテランの比率が最も高いのは三原市ですが、人数で見れば中区の95名が県内で最も多く、三原市13名の7倍以上になります。「ベテランに相談したい」という条件だけであれば、候補の数という意味では中区が最も多い、という関係になります。
比率が効いてくるのは、エリアを固定して探す場合です。三原市や呉市では、地元で候補を挙げていけば自然とベテランが多く含まれます。逆に佐伯区・安芸区で探すと、登録30年超の税理士は区内に9名・3名しかいないため、条件に合う候補が地元で見つからない可能性が高くなります。
若手が多いエリアはどこか
登録5年未満の税理士の比率で見ると、上位の顔ぶれは入れ替わります。
| エリア | 税理士数 | 5年未満 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 廿日市市 | 53名 | 13名 | 24.5% |
| 広島市佐伯区 | 73名 | 12名 | 16.4% |
| 広島市中区 | 436名 | 70名 | 16.1% |
| 広島市安芸区 | 25名 | 4名 | 16.0% |
| 広島市西区 | 139名 | 22名 | 15.8% |
| 呉市 | 87名 | 12名 | 13.8% |
| 福山市 | 250名 | 33名 | 13.2% |
| 広島市安佐南区 | 62名 | 8名 | 12.9% |
| 広島市東区 | 109名 | 13名 | 11.9% |
| 広島市南区 | 127名 | 12名 | 9.4% |
| 東広島市 | 60名 | 5名 | 8.3% |
| 広島市安佐北区 | 30名 | 2名 | 6.7% |
| 尾道市 | 49名 | 3名 | 6.1% |
| 三原市 | 31名 | 1名 | 3.2% |
廿日市市の24.5%は突出しており、県内で唯一2割を超えます。53名のうち13名が登録5年未満で、平均キャリア年数が16.6年と短いのもこの構成によるものです。
反対に、三原市は31名のうち5年未満が1名、尾道市は49名のうち3名です。備後の中小都市では、若手の税理士を地元で探すこと自体が難しくなります。この点は福山市とは対照的で、福山市には5年未満の税理士が33名います。
なお、若手の比率が高いことは、そのエリアで税理士が増えているという意味ではありません。ここで扱っているのは現役登録者の構成だけで、増減の話は別です(詳しくは後述します)。
母数が小さいエリアの読み方
上の表は税理士25名以上のエリアに限定しています。それ未満のエリアでは、数名の増減で数字が大きく動くためです。
たとえば大竹市は税理士9名で平均28.1年、三次市は12名で23.0年と、いずれも三原市に近い水準の数字が出ます。しかし1名の引退や登録で平均が数年動く規模なので、エリアの傾向として読むには向きません。税理士1名のみのエリアでは、その1名のキャリアがそのまま「平均」になります。
税理士が10名前後のエリアで税理士を探す場合は、比率ではなく 地元に何名いるか を見て、足りなければ近隣市町まで範囲を広げる、という考え方の方が実用的です。
このデータの読み方──「現役のスナップショット」である点
本記事の数値は 2026年4月時点で広島県内に現役登録している税理士1,613名のみ を対象にしています。各税理士を登録年で分類していますが、これは 「現役のうち、いつ登録した人が何人いるか」 を示すものであって、過去の各年に新規登録された人数そのものではありません。
登録から年数が経つほど、引退・転籍・廃業などで現役を離れる税理士が積み上がるため、古い登録年ほど数字は当時の登録規模より小さく出ます。そのため、「広島県の税理士は増えているのか/減っているのか」「若手の登録が増えているエリアはどこか」といった時系列の動きは、このデータでは追えません。
エリア間の差についても同じで、本記事で扱っているのは いま各エリアにいる税理士がどのくらいのキャリアを積んでいるか という現在の構成です。「三原市で世代交代が進んでいない」「廿日市市に若手が流入している」といった動きを示すものではない点は、あらかじめ押さえておいてください。
エリア差をどう使うか
ここまでの数字を、税理士を探す視点でまとめると次のようになります。
- 県全体の平均は19.1年、ベテラン比率22.8%。ただしエリア差は12年ある
- ベテランの比率が高いのは三原市(41.9%)・呉市(34.5%)・尾道市(28.6%)
- ベテランの人数が多いのは中区(95名)・福山市(57名)。比率ではなく候補数で見るならこちら
- 若手の比率が高いのは廿日市市(24.5%)・佐伯区(16.4%)・中区(16.1%)
- 若手が地元でほぼ見つからないのは三原市(1名)・安佐北区(2名)・尾道市(3名)
相続や事業承継のように、過去の事例の蓄積が判断に効く相談であれば、キャリアの長い税理士が多いエリアで探すと候補を絞りやすくなります。創業期の事業やフリーランスの相談で、クラウド会計やオンライン中心のやり取りを希望する場合は、若手の比率が高いエリアの方が条件に合う相手を見つけやすいでしょう。
ただし、キャリア年数はあくまで候補を絞る入口です。登録年数が短くても、国税職員や会計事務所で長く実務に携わってから登録した税理士は珍しくありません。逆に登録年数が長くても、自分の相談内容と得意分野が合わなければ噛み合いません。エリアで当たりをつけたあとは、個別の事務所の対応分野と、初回相談での受け答えで判断するのが結局のところ確実です。

