広島市で税理士事務所を探していると、ホームページを見ても「代表税理士1人だけ」の事務所が多いことに気づきます。実際に広島市内の税理士事務所は何人体制で運営されているのか、1人事務所はどのくらい多いのか、複数名で対応している事務所はどの程度あるのか。2026年4月時点のデータで規模分布を整理しました。
(広島市全体の税理士統計情報はこちらをご覧ください。)

「規模」とは1事務所に所属している現役登録税理士の人数を指します。事務職員や補助スタッフは含まれません。あくまで税理士資格を持って事務所に登録されている人数ベースの規模感です。広島県内に複数事務所がある場合でも1箇所にまとめ、メインと想定する場所でカウントしています。県外の所属事務所はカウントしていません。
1名体制の事務所が84.8%──「広島市の税理士事務所=ほぼ1人事務所」
広島市内の税理士事務所は 783件 あり、そのうち 税理士1名だけで運営されているのは664件(84.8%) です。6件に5件以上が1人事務所 という構造で、複数の税理士が所属する事務所は少数派です。
| 体制 | 事務所数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1名(代表のみ) | 664 | 84.8% |
| 2名 | 70 | 8.9% |
| 3名 | 30 | 3.8% |
| 4名 | 9 | 1.1% |
| 5名以上 | 10 | 1.3% |
| 合計 | 783 | 100% |
複数名体制(2名以上)の事務所はあわせて 119件(15.2%) で、そのうち2名事務所が約6割(70件)を占めます。3名以上の事務所まで絞ると 49件(6.3%) にとどまり、「税理士が3人以上いる事務所」は、広島市内では限られた選択肢になります。
規模別の分布──最大でも8名、二桁人数の事務所は存在しない
5名以上の事務所は10件のみで、その内訳を細かく見ると次のようになります。
| 規模 | 事務所数 |
|---|---|
| 5名 | 3 |
| 6名 | 4 |
| 7名 | 2 |
| 8名 | 1 |
| 9名以上 | 0 |
広島市内で最も規模が大きい税理士事務所でも 8名体制 で、9名以上の事務所はありません。「広島市の大手税理士事務所」と言われるところでも、税理士の所属人数だけで見ると一桁です。スタッフを含めた組織全体としてはもっと大きい事務所もありますが、税理士本人の数で見ると、広島市内には20人・30人を抱えるような大型事務所は存在しないことになります。
法人事務所と個人事務所での違い
事務所の形態別に分けると、税理士法人と個人事務所で規模感がはっきり違います。広島市内の事務所形態は 税理士法人75件(9.6%)/個人事務所708件(90.4%) で、9割は個人事務所です。
| 規模 | 税理士法人 | 個人事務所 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1名 | 18 | 646 | 664 |
| 2名 | 18 | 52 | 70 |
| 3名 | 22 | 8 | 30 |
| 4名 | 9 | 0 | 9 |
| 5名以上 | 8 | 2 | 10 |
| 合計 | 75 | 708 | 783 |
個人事務所708件のうち 646件(91.2%)が1名体制 です。「広島市の個人税理士事務所=代表税理士1人で回している」が、ほぼそのまま当てはまる構造です。複数名いる個人事務所は62件にとどまり、4名以上の個人事務所はわずか2件しかありません。
一方、税理士法人75件は規模が分散しています。1名の税理士法人が18件、2名が18件で、ここまでで法人の約半数(36件/75件)。3名以上の法人は39件で、個人事務所と比較すると複数名体制の比率が高い傾向です。
「複数の税理士が在籍している事務所を探したい」場合、選択肢の多くは税理士法人側にあります。
区別の1人事務所率──中区がいちばん低く、周辺区ほど高い
8区別に1人事務所の比率を出すと、中区が市内で最も低く、周辺区になるほど高くなります。
| 区 | 事務所数 | 1名事務所 | 1人事務所比率 |
|---|---|---|---|
| 安佐北区 | 28 | 26 | 92.9% |
| 安芸区 | 22 | 20 | 90.9% |
| 安佐南区 | 53 | 48 | 90.6% |
| 南区 | 108 | 97 | 89.8% |
| 佐伯区 | 62 | 55 | 88.7% |
| 東区 | 92 | 81 | 88.0% |
| 西区 | 108 | 94 | 87.0% |
| 中区 | 310 | 246 | 79.4% |
| 市全体 | 783 | 664 | 84.8% |
最も低い 中区でも79.4% が1人事務所で、それでも8割近くを占めます。中区は事務所数が310件と市内最多で、複数名体制の事務所が比較的揃っているのも中区の特徴です。5名以上の事務所10件のうち6件は中区にあり、西区にも3件あります。「税理士が3名以上いる事務所」を探すと、ほぼ中区・西区に集中 しているのが実態です。
逆に、安佐北区(92.9%)・安芸区(90.9%)・安佐南区(90.6%)・南区(89.8%) など周辺区では9割前後が1人事務所です。これらの区では「複数名体制の事務所を地元で探す」という選択肢自体がかなり狭くなります。
広島県全体・福山市との比較
参考として、広島県全体および福山市と並べると次の通りです。
| 体制 | 広島市 | 広島県全体 | 福山市 |
|---|---|---|---|
| 総事務所数 | 783 | 1,243 | 180 |
| 1名 | 84.8% | 83.2% | 78.3% |
| 2名 | 8.9% | 9.8% | 12.2% |
| 3名 | 3.8% | 4.3% | 7.2% |
| 4名 | 1.1% | 1.2% | 1.1% |
| 5名以上 | 1.3% | 1.4% | 1.1% |
広島市の1名比率(84.8%)は広島県全体(83.2%)よりやや高めで、1人事務所の比率は県内でも上位 です。一方、福山市は1名比率78.3% と広島市より6ポイント以上低く、2〜3名規模の事務所が広島市より目立つ構造です。2名以上に絞ると、福山市は21.7%、広島市は15.2%で、福山市の方が 複数名体制の事務所が見つけやすい ことになります。
ただし、福山市でも8割近くは1人事務所で、5名以上の事務所はわずか2件です。「複数名体制の事務所が欲しい」場合、福山市でも選択肢は限定的という点では広島市と大きく変わりません。
「広島市で税理士に頼む」=ほぼ1人事務所への依頼が前提
広島市の税理士事務所の規模感をまとめると、次のような実態です。
- 1名体制が783件中664件(84.8%)。複数名体制は15.2%にとどまる
- 5名以上の事務所は10件のみ、最大でも8名規模で、9名以上の事務所は広島市内に存在しない
- 個人事務所708件のうち91.2%が1名体制。「広島市の個人事務所=1人」が標準
- 税理士法人75件は規模が分散し、3名以上は39件と複数名体制の選択肢になりやすい
- 中区は1人事務所比率79.4%と市内最低、5名以上事務所は中区・西区に集中
- 周辺区(安佐北区・安芸区・安佐南区など)は9割以上が1人事務所
- 福山市の1名比率78.3%より広島市の方が「1人事務所が多い」県内地域
この構造を前提にすると、広島市で税理士に依頼するときに知っておきたいポイントは整理しやすくなります。
「税理士の人数」と「窓口担当者」は別の話
ここまで「規模」を税理士の所属人数で見てきましたが、契約後に日々やり取りする担当者がその税理士本人とは限らない、という点には触れておきます。
事務所の規模を問わず、実務面では 資格を持たない事務スタッフが訪問や資料のやり取りを担当している ケースは広く一般的です。これは複数名事務所や税理士法人だけでなく、税理士1名の事務所でも同じです。資料の受け渡し、月次の経理データ確認、申告書類のドラフト作成補助などのルーティン業務はスタッフが分担し、税理士本人は税務判断や面談に集中する、という運営方針は珍しくありません。
一方、税務に関する具体的な判断・相談は税理士の業務として明確に線引きされており、税理士本人が対応する設計を取っている事務所が一般的です。月次の打ち合わせに税理士本人が同席する事務所もあれば、定例はスタッフ中心で、判断が必要な場面だけ税理士に引き継ぐ事務所もあり、運営方針には差があります。
依頼前に確認しておきやすいのは、次のような点です。
- 月次や決算時の打ち合わせに、税理士本人が同席するか
- 質問・相談への回答は、税理士本人がレビューしたうえで返ってくる方針か
- 込み入った税務判断が必要なときに、税理士と直接話せる場が確保されているか
「税理士が何人いるか」よりも、「自分のケースで誰がどこまで関わるか」 が、契約後の体感としての違いを生みます。契約前にこのあたりを聞いておくと、「想像していたよりも税理士本人と話さない」というギャップを後から感じるのを避けやすくなります。
1人事務所のメリットと注意点
1人事務所のメリットは、税務上の判断・相談の責任者が代表税理士1人で固定される点です。担当者の入れ替わりがなく、過去のやり取りを毎回説明し直す必要がない、判断の責任が一本化されている、といった安心感があります。広島市内のほとんどの事務所がこの構造なので、選択肢としては自然です。
一方の 注意点 は、繁忙期(確定申告期や決算集中時期)に代表税理士1人で動いている分、レスポンスや訪問のタイミングに制約が出やすい点です。緊急対応が頻発する業種や、複数拠点・複数法人の同時並行案件など、複数名で分担できる体制が前提になる依頼内容では、初めから複数名体制の事務所や税理士法人を探した方が無難です。
「複数の税理士の目で見てほしい」「組織として継続性を担保してほしい」というニーズが強い場合、広島市内で候補になるのは数十件程度の3名以上事務所か、市内に75件ある税理士法人のいずれかになります。中区・西区が探しやすいエリアです。ただし、税理士が複数いても自分のケースに関わるのは1人だけ、という運営の事務所もあるため、契約前に「自分の案件にどの体制で関わってもらえるか」は確認しておくと安心です。
調査について
本記事の事務所数・規模分布・法人/個人比率は、広島税理士リンクが日本税理士会連合会の公開情報をもとに集計したデータです。広島市内の税理士事務所783件について、2026年4月21日時点で現役登録中(is_active=1)の税理士を事務所単位で正規化・重複除外して集計しました。「規模」は1事務所に所属する現役登録税理士の人数を指し、事務職員・補助スタッフは含みません。事務所への所属状況は変動するため、本記事の数値はあくまで一時点でのスナップショットです。

